石乃浦骨董店 が手掛ける 一次元ローグライクRPG『ヒュプノノーツ』のレビューです。
発売元は(株)アフィリティ。
こちらではNintendo switch版のレビューになっています。
人生とローグライクRPGをかけ合わせた本作。
なんといってもその特徴は、ゲーム中は立ちはだかる敵や試練たち!
苦手な食べ物から人間関係など多くの人が経験したリアリティあるものたちなんです!
まさに人生というRPGを戦いぬくゲームですね。
ゲーム性は非常にシンプルで複雑な要素は一切ありません。
しかしながら、その難易度は高めで手強いものでした。
登場人物の一筋縄ではいかない人生を追体験していく魅力的なコンセプトが輝いていた作品でした。
クリアまでのプレイ時間はトライ&エラーの繰り返した末、5~6時間くらいでした。
大人になった心に刺さる切なくも温かいストーリー
ある日、主人公の家に不思議な枕が届きました。
その枕を使うと、意識を保ったまま、夢を見ることができました。
夢の中で再会した幼馴染の少女を助けるために、子供から大人への成長過程をたどる冒険が始まりました。(公式サイトから引用)
大人になった主人公のもとに突如届いた不思議を枕を使って、子供のころの夢を見るところから物語がはじまります。
色々経験をしながらすくすくと成長していく主人公
そのような中、ある日とある少女と出会います。それは一生忘れられない大切な出会い。
夢の中では、子供から大人になるまでに少女がどのような半生をおくってきたかを知ることになります。
辛く苦しいことが多くても人生を歩み続けた彼女にある約束を果たすため、夢に立ち向かっていきます。
楽しいことも悲しいことも、大人になった心だからこそ共感してしまう物語の数々に引き込まれていきました。
ゲーム性はとてもシンプルながらも面白い
本作のゲーム性はとてもシンプルです。
目的は一直線のマップを左端のスタート地点から右端のクリア地点を目指します。
基本的に道中は進むか戻るかで行動をしていくことになります。
この行動回数は決まっており回数制限以内にクリアしなければなりません。
途中ランダムエンカウント形式で戦闘などのイベントが発生します。
進む戻るは人生の時間経過とリンクしており、進めば進むほど立ちはだかる敵も変わっていきます。
しっかり成長していないと太刀打ちできない敵も増えてきます…!
そこで、進んで戻るを繰り返しながらどこでどれだけ経験値を増やして強くなるかが重要です。
とはいえ行動回数があるため、あまりのんびりはできない…。
ここは安全に引くべきか!?、レベルアップ寸前だから突っ張るか…!?などの駆け引きが面白く、ローグライクRPGとしての楽しさがしっかり感じられました。
運との付き合い方が大事な手強い難易度
本作は、どのイベントが発生するか、発生するタイミングしかりランダム性が多く、運に左右される部分は非常に大きくなっている印象でした。
序盤でコロッと失敗してしまうこともあれば、負ける気がしないほどに上手く進めることあります。
個人的に運の比重が大きいゲーム性はあまり好きではないのですが、人の世が舞台である本作ではこのバランスを意図的に作らているのでしょう。
運とどう付き合って進んでいくかが攻略のカギになっています。
ということは、運要素強めでストレスじゃないの?と思うでしょう。
実際は意外にもプレイ中はストレスになることはあまり感じませんでした。
まず、各章のクリアまでの時間は15~30分ほどでワンプレイがそこまで長くないです。
なので後半で失敗しても心折れずに再挑戦できる長さで遊びやすかったです。
それに、現実味ある敵たちを相手しながらゲームに没入していると、事の上手くいかなさに納得してしまうというか…。
それゆえに絶対クリアさせたい…!と思わせる魅力的なストーリーがあることが大きかったです。
簡単にはクリア出来ずとも、着実に攻略していける手軽にローグライクRPGを楽しめるほどよいゲームバランスだったと感じました。
人生とRPGを掛け合わせた「ヒュプノノーツ」だからこそのゲーム体験
子供から大人になるまでの人生をローグライクRPGで楽しめる本作。
進んでいく先には数々の試練、強敵が待ち受けています。
その敵はなんともユニークかつ、共感のできるものたちも。
たとえばそう!子供のころの野菜…!
やつらは手強いものでした。
宿題なんてどれだけ逃げようと試みたものか…。
子供のころに立ちはだかる数々の強敵。何でもが冒険だった様々な試練を乗り越えて攻略していきます。
大人になった人には懐かしく感じクスっと笑えるのではないでしょうか。
そんな子供時代もあっという間に過ぎていき世界は変わっていきます。
それは、子供のころとは違った試練。
社会の形を知り、立ちはだかるは人間関係…!
生きるのに求めらるものが増え、人が乗り越えていかなければならないものも変わっていきます。
とにかく人生のワンシーンをRPGらしく表現されていてひたすらに面白いなぁと思うばかりでしたね。
また、各敵、各章によって戦いに必要となるステータスも変化していきます。
ガキ大将には“力”で対抗したり、勉強には“知恵”が必要です。
成長すれば“意地”や“社交”で戦うシーンも出てきます。
細かな部分もとてもユニークに落とし込んで表現されています。
とても上手く融合されている本作だからできる体験がありますね。
思わず感情移入してしまう内容なので、一気にグッとゲームに没入してしまいました。
これから先の展開が気になるストーリーのおかげで、高難易度でありながら何度もトライしてしまいました。
それだけ魅力がある作品だと思います。
辛いことがほとんどでもそうじゃない時もあったはず。
その瞬間があってまた強くなって前を向けることもあるんだと、そんなメッセージ性を感じました。
まとめ
心も体も変わっていって辛いことがあってもこれが大人になることかと納得させて生きていくしかない。
辛い現実に打ちのめされ、子供のころに戻りたいと感じる人は少ないはず。
切なくも共感してしまう過酷な人生のその先には、希望のこもった温かな物語が待っていました。
頑張って大人になろうとする心も。子供のころに戻りたいと思う心。
そのどちらも肯定してくれるかのような気持ちしてくれます。
手強いローグライクRPGというゲーム性だからこそ味わえる人間ドラマが心に沁みる作品でした。
- リアリティある切なくも温かい人間ドラマが好きなひと!
- 良質なストーリーと手強いRPGを同時楽しみたいひと!
- なんだか社会のしがらみに疲れてきたひと!
現実でも自分の些細な時間がRPGのように日々レベルアップにつながっていると考えると前向きになれそうですよね。
私はまだ シイタケ を倒すことができないのでいつかは攻略法を見つけていきたいです。