今回は Mojiken Studioが開発を手掛けた『When the Past was Around 過去といた頃』のレビューをしていきます。Nintendo Switch 、PlayStation 4 、Xbox One にて発売されています。価格は900円。
ここではNintendoSwitch版でのレビューとなっています。
これは一人の女性「エダ」の記憶を追体験するパズルアドベンチャーゲームです。
私はいままでアドベンチャーゲームをあまり遊んでこなかったのですが、あたたかなアートイラストや音楽に惹かれプレイしてみました。新鮮な気持ちで楽しめましたね。
ゲーム内容は、パズルを解きながらストーリーを進めていくシンプルなものでした。
アクション要素や、壮大で波乱な展開!っといったものはないため、なんだか少し退屈だと感じることもあるかもしれないです。
ですが、逆に落ち着いた時間ゆったりと出来るゲームをやりたいなぁと思っている方はピッタリだと思います。
あたたかなビジュアルにバイオリンが印象的な落ち着いた音楽。紅茶片手にプレイすればなんだかオシャレ空間にいるような気分にさせてくれますよ。ちなみに私はオシャレは全然分かりません…。
雰囲気だけのゲームなのかなぁと思われたかもしれませんが、このゲームにはしっかりとしたメッセージが描かれています。それは辛く悲しくも少しの勇気をくれるお話でした。
本で物語を楽しむも良いですが、ゲームで物語に入り込んでみるのも良いものです。
ふたたび前を向くためのほろ苦い物語
ストーリーは最愛の人を失った女性「エダ」の物語。ゲームではエダの過去の記憶をたどりながら心の変化を追体験していくようなストーリーとなっています。
なんと本作は、テキストやセリフのような物語の説明はありません。しかし、言葉はなくてもエダ達の様子だったり記憶の中のオブジェや音楽と様々なもので表現されています。
エダは夢に向かって歩いていましたが、途中道に迷い苦しんでいました。そんな中、彼女はある人物に出会います。その人が与えてくれたもの、その人とのかけがえのない時間の中で、彼女の心が少しずつ変化していく様子が描かれていきます。大切だった記憶を胸にエダがこれからをどう歩んでいくのかを見ていくことで、なんだか自分も背中を少し押されるような感覚になりました。
この物語は劇的な衝撃展開の繰り返しある派手な物語はなく、一人の女性の普遍的なお話といえるかもしれません。
だからこそ、ゲームの中でエダに共感のような近しいものを感じるのも、このゲームの魅力であるのではないかと思います。
難しくはない難度のパズルのゲームシステム
本作はパズル・アドベンチャーゲームとなっています。
操作はポインターを動かしながら隠れたパズルを探っていくのが主な内容になります。
お話の場面ごとの目的に沿って周りのものから鍵を探したり、暗号を解くなどして進行していきます。
実際の操作感はポインターの移動速度が少し遅く感じるくらいで特に不満はありませんでした。とてもシンプルです。
パズルの難易度は個人的にやさしめだと思いました。結構サクサクと進められた印象です。もちろん頭をひねるパズルも中にはあります。全体的にほどよい難しさだと思います。
ちなみに私は、一度どうしても解けず一晩時間を置いたパズルもありました。詰んでしまったかと焦りながら、改めて視点を変えてみると意外と簡単だったりするんですね。そんな感じにパズル苦手だなぁという方でもちょっとした気づきで必ず解けるものになっているので心配いらずです。
そして、このゲームのパズルに使われるものたちはエダの思い出が関係しています。ここが本作の特徴とも言え、物語への没入感に繋がっています。
オルゴールや写真などから読み取れるエダの思い出。パズルを解きながらゲームを進めていくことでエダの気持ちを感じることができます。
あたたかい雰囲気を作り出すグラフィックとサウンド
ゲーム全体が手描きのようなあたたかな雰囲気で描かれています。なんだかおしゃれな絵本みたいなそんな雰囲気で素敵ですよね。
また、バイオリン、ピアノなどで奏でられる心地良い音楽がとても印象的で素敵です。
作中に流れるあるメロディはプレイしていく中で思い出に残っていくのではないかと思います。
ボリュームについて
本作のクリアまでの時間は大体3~4時間です。本一冊読み終えるくらいの時間でしょうか。
パズルの得手不得手で多少変わりますが、短い時間でクリアすることができると思います。
まだもうちょっと遊びたいと感じましたが、お手頃な価格を考えればこれは特に不満はなかったです。
ゲーム全体としてすっきりとまとまっていたのでクリア後の満足感は感じましたね。
ストーリーは章ごとに分けられています。また、ゲーム中断してから再開する際は章の初めからになります。一章ごとはそんなに長くないので中断してもそこまで面倒くさくないですがちょっとだけ注意しておいてくださいね。
まとめ
物語はセリフなしで進行していく、ゲームならではの表現で描かれた物語が個性的な本作。
お値段も900円とお手頃価格で十分に楽しむことが出来ました。
本屋で気になる小説を手に取るような感覚でこのゲームも遊んでみてはいかがでしょうか。
プレイし終わった後の心がどこか晴れるような感覚を感じてみてほしいと思います。